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救援に駆けつける消費者
地域共同支援が自然農法農家に安定した市場を育てる
日本からの報告

グレッグ・ボーマン

2002年12月の関東での強烈な3日間、3軒の小さな家族経営の農家を訪問。一軒は丘陵地、一軒は谷間、もう一軒は平地。消費者グループは農家を大事にし、成功し続けるように協力している。

慣行農家だけでなく都会育ちの若者が、リスクの大きい自然農法に挑戦することを応援している団体がある。このグループのシンプルなモットーは、農家と支援者が困難な問題を抱えている時、その両者の関係を支えてきたもので、「土を愛し、自然を尊び、神に心を向ける」がそれである。

地元農家の支援に集まる消費者
町田氏(写真右端)の農場で、消費者グループがロデール研究所からの訪問者に会っているところ。左から2番目は堂前恵子さん。地域支援型農業(CSA)の活動を推し進め、秀明自然農法ネットワークに加入している農家を助けてきました。
今回、この三人の農夫とその家族、そしてこの数年間に彼らのもとで結集して活動してきた人々が集まりました。そして彼らは、12月ロデール研究所から訪れた3人の訪問者に体験談を聞かせてくれた。参加した人々は寒々とした雨混じりの湿っぽい曇り空の下、嬉しそうに農場に立ち、アメリカからの訪問客がその土地特有の青菜を味わい、巨大な大根にあっけにとられ、黒々と耕された土に驚嘆する様を眺めていた。


その農家と支援者は秀明自然農法ネットワーク(SNN)の会員で今回の視察旅行は彼らによって主催されました。ロデール研究所は今回10回目の来訪となるジョン・ハバラン所長、初来日となる2人のニューファームスタッフを派遣しました。ニューファーム編集長のクリス・ヒル氏とオンライン編集長のグレッグ・ボーマン氏の2人は、秀明スタッフとの共同作業のリーダー役です。

1,000人にも及ぶ農家の大ネットワークの努力を入念に調査することで、この農薬漬けの慣行農業システムで支えられている都市文化の中、利益よりも精神的価値を動機としている小規模農家が、存続をかけていかに闘ってきたかを、ニューファーム編集部は長期連載で描いていくことを望んでいます。それは、同じような問題で奮闘している世界中の農家に、貴重な教訓と先見的洞察を与えるものになると確信しているからです。

1992年、秀明自然農法ネットワークの会員内では、自然農法への取り組みによりいっそう力が入れられ、多くの新しい農家の努力に拍車をかけました。この度出会った農家は皆この時期に自然農法を始め、同じような体験をしています。それを挙げてみると、

  • 初期に家族や近隣の慣行農家から、化学肥料や除草剤を使わずに作物を生産できるだろうかと強い疑いの眼を向けられる。
  • 失敗がないとは言えないが、栽培技術、農場の状況、食物の質が徐々に改善していく。
  • 前項の結果として生産過剰となる。
  • やがて消費者の支援が始まり、進展する。

そして農家たちに共通して見られる感覚がありました。日々見ている土や自然のサイクルへの尊敬の念が彼らの中で高まってきたのです。そしてそれが生産や販売が困難な時期にもやり方は正しいという信念を深め、彼らに継続の力を与えることになります。次第に反対していた家族や隣人は、この農夫の選んだ非慣行的なやり方が有効だと認めるようになりました。(秋田県大潟村で開催されたおいしいお米づくり日本一大会で優勝する会員もでてきました。慣行農法で栽培された米より間隔をより広くとって作付けすることにより、丈夫で収穫しやすい稲を作ることができます。)

群馬、埼玉、千葉各県での会合の時、たくさんの人が個人的な心情を打ち明けてくれました。ある農家では、高齢な母親が非慣行農業に取り組み始めた息子の除草作業を手伝っているうちに体調も良くなり、今も続けています。もう一人の老婦人は非慣行農業に取り組み、地域の支援が進展していくのと同じ時期に息子を癌で亡くしましたが、周囲の人々に支えられ、再び生きる望みを見いだし、その後2ヘクタールの農場の中心的な役割を担っています。


土の声を聞く
野本氏は10年前に農業を始めました。優しいながら確固たる口調で、野菜と土の両方を注意深く観察する必要があると語ります。

またある場所では、地元の農家がどのように土を愛する心を学んだかという実話に基づいて、青年たちが台本を書き、劇を作りました。この若者たちは、哲学者でもあり教師でもある中心的な農夫とともに成長しています。彼は植物を支配し、管理しようとしていた以前の考えを如何に変えていったかを優しく語ります。深い観察と反省により彼が学んだことは、自然を支配するのではなく、農場で見いだした自然のあらゆる面に順応していくということです。彼の畑で育った青菜の味は抜群でした。

1990年代後半、秀明自然農法ネットワークの会員の中では地域によって自然農法の指導者が生まれ、東京周辺の新しい農家を激励しました。しかし、生産に成功しつつあった農家も、売り込みや流通で行き詰まり、更なる指導者を必要としました。これは長期に渡って農業を営むための次のステップでした。前方に道が見えず、二進も三進もいかなかったとき、農家と消費者の両方がフラストレーションや深い悲しみ、憤りを感じていたことを私たちは知り、学びました。

この状況において現れたのは、農家の声に耳を傾け、支えるために自分自身の価値観の転換をはかり、会員による真の支援ネットワークを作り、助けた女性、堂前恵子さんでした。彼女はこの時期の活動の中核は「農家が作業で気を遣っている点、私たちに求めている点を理解すること」と最近の文章の中で語っています。

堂前さんは、1970年代に起こった生協運動の中で見てきた最高の要素と、アメリカの
CSA会議から学んだ新しい見識を取り入れました。まず、農家が売らなければならない物を見つけ、その次に喜んで購買量を大きく増やすという会員がいることを農家に説明しました。

消費者は、農家が生産物を通じて、他人に愛と健康をもたらすということに気付き、精神的に目覚めていくにつれ、どんなに大きく変わっていったかを目の当たりにしました。農家が農作業に対して、心から献身していることを理解するにつれて、消費者はより一層活動に参加するようになります。

過去数年間で、消費者の参加は増え、自分たちがお世話になっている農家のもとで、定期的に農場で作業奉仕をする人も出てきました。長距離を運転してやってくる人もいれば、数カ所の農場から届く作物の集荷を自宅で引き受け、農家を助ける人もいます。その人の自宅まで、作物を受け取りにいく消費者が何人かいて、残った作物は効率的により遠隔の集荷場所まで配送されます。

農家と消費者の間の関係を築くには、時間とエネルギーが必要です。堂前さんは「“会員一人ひとりの心を変えていく地道な努力”が、自然農法の強化、拡大のための核となる活動です。この取り組みの中から、“感謝、理解、協力の輪が広がっていく”のです」と語ります。

環境と社会的価値を取り入れた小規模な再生可能な農業ならどこでもそうであるように、自然農法活動には、それを成り立たせるためなら生活を変えるといった物の分かる人々が必要です。初期のつらい時期と張りつめた人間関係を思い起こし話す彼らは、しばしば涙を浮かべます。訪問した3人の農家は、会合に出席した他の農家同様、感激し、とても満足していました。

現実的な意味では、彼らの未来は安定からはほど遠いのです。しかし、彼らは自然農法を通じて、人間の尊厳、人との関係、発見への道を心穏やかに歩む個人であり、新婚夫婦であり、大家族でした。彼らは多くを学んでおり、分かち合えるものをたくさんもっているのです。

秀明自然農法ネットワークでは彼らの行う農法を秀明自然農法と呼んでいます。

ロデール研究所と秀明自然農法ネットワークの協力関係についてはここをクリック

 
 


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