Who We Are−ロデール研究所とは
背景(BACKGROUND) ロデール研究所(The Rodale Institute)は「健康な土=健康な食べ物=健康な人々」を理念とし、環境と人間の健康を取り戻すことができる再生可能な食物システムを実現するために、世界中の人々とともに活動しています。
・歴史(History)
健康な土と健康な人々の間に切っても切れない関係を作ることが、3世代以上に渡ってロデール研究所の主たる目標となっています。最初の仕事は、健康と環境の主な問題に対して、農業の面から解決法を見出すことでした。その解決法が実際に役立つものだということを証明するのが2つめの仕事となり、そして、今私たちがやっている3つめの仕事がその解決法を世界に広めるということです。
ロデール研究所は、J.I.ロデールの創り出したものです。1930年代の後半、J.I.ロデールはペンシルベニア州の田舎に移りました。その土地で彼は農業において個人的に強く関心をもっていたことを実現できたのです。そこで彼は有機栽培を学びました。そして、健康を保ち、また向上させるには、土の自然な健康を取り戻し、守らなければならないという理論をすぐに打ち立てました。
第二次世界大戦中、窒素が肥料生産から軍需目的に転用させられたことにより、急激に窒素不足が起こります。肥料の不足により、アメリカ国土の自然な栄養素が貧弱であることが露呈し、そのときから、自然な土の生産力を取り戻す実用的な方法を発展させ、実践していくことがJ.I.ロデールの第一の目標となったのです。1947年に、J.I.ロデールはロデール研究所の前身となる財団法人「土と健康」(The Soil and Health Foundation)を設立しました。彼はまた、「健康ニュース」(Health Bulletin)、 「有機農業と有機園芸」(Organic Farming and Gardening)、「予防」(Prevention Magazine)などを刊行し、「健康な土=健康な食べ物=健康な人々」という基本理念を打ち立てました。
この理念は簡潔に表現されていますが、革新的なものでした。1世紀前に広く受け入れられて以来、化学肥料、殺虫剤、除草剤、ホルモン剤、人工食品原料、保存料、風味と見かけを良くするための添加物などが、農業のあり方を変えてしまいました。しかし、J.I.ロデールが栄養分に富んだ汚染物資を含んでいない土を作る考え方を発信するにつれ、人々は彼の考えを聞くようになり、支持も広がっていきました。「オーガニック農業は一時的なブームのようなものではない」とJ.I.は1954年に書きました。「それは、長い歴史を持つやり方だ。現在の化学肥料志向よりも、もっとしっかりと根付いたものだ。現行の農業のやり方は私たちを衰退に導いている。」
J.I.ロデールは1971年に他界しました。彼の息子であるロバートは約135ヘクタールの農場をペンシルベニア州クズタウン近郊に買い、農業と健康に関連した研究を拡大していきました。妻のアーデスとともにロバートは現在のロデール研究所を作り、研究の時代が始まりました。「人々が自分の食べるものを管理できるようにすること」とNBC ニュースのジャック・オルークは研究所の目標を簡潔に表現しました。ロデール研究所はこの目標を世界中に拡げようとしています。
ジョン・ハバランは、1961年にロデールプレスの編集者としてロバート・ロデールに雇われ、10年前にロデール研究所の所長となりました。ロバート、ジョン、そして彼らの農法に信頼を置く農家の人々と科学者による力強い証言により、アメリカ議会は1985年の農業法案に再生可能な農業への資金を盛り込みました。今日では、連邦・州政府や地方自治体、ランドグラント大学、他の全国的な団体も再生可能な農業の研究と教育プログラムを進めています。
ロバート・ロデールが1990年にモスクワにおいて交通事故で亡くなったとき、アーデス・ロデールが研究所の会長となり、彼らの息子であるアンソニーが副会長となりました。アンソニーは長い間にわたって研究所の国際的な活動を写真の形で記録してきました。彼は今、妻のフローレンスとともにロデール研究所の将来の教育、研修、研究プログラムを具体化しようとしています。ロデール夫妻は、子供たちは変化への鍵であり、彼らの理解と影響力によって、健康な土、健康な食べ物、健康な人々、そして健康なライフスタイルへの道がさらに開かれていくと考えています。
・ロデール研究所の現在(The Rodale Institute Today)
ロデール研究所は、土と人間の健康との関係を調べ、その関連性を証明し、人々に伝えることを目的として、ロデール研究所内の実験農場で草分け的な研究を続けています。ロデールスタイルの農業は、時とともにオーガニック農業から低投入農業、持続可能な農業、再生可能な農業へと変わってきました。しかし、健康な土を作り維持することによって、より健康な食物を提供するという意図は変わっていません。研究所の成功の要になっているのが、研究所が掲げるゴールです。そのゴールとは:
- 人々が、最良の健康を手に入れ、病気を免れるための第一の手段は食べ物であることを再発見する手助けをすること。
- 若い人々に働きかけ、考え方を練り直すためのパートナーとなること。
- 土の質は、空気や水の質と同じくらい重要なものだと人々に認識してもらうこと。
- より多くの人がオーガニック生産物を栽培し、販売し、そして購入するようになるよう働きかけること。
- 健康な食べ物は健康な土からのみ得られるという自覚を、再生可能な農業を営む農家が一般の人々に広め、健康な食物の需要を拡大していくこと。
- 再生可能な農業を営む農家、食品会社、食料品店を、医療や健康管理の専門家と同じチームに入れること。
- 精神(mind)と魂(soul)にも栄養分が必要だという考えを、健康問題、そして再生可能な生き方の一部として尊重し、認識すること。
これらのゴールを達成するために、ロデール研究所実験農場は5つの教育、研修、研究計画に力を入れています。その5つとは、土の健康、食物の品質、再生可能な農業の教育、堆肥作り、そして最後が、地方・国内・国際レベルにおける地域社会の発展です。実験農場は長い間、重要な農業システムを試す場所でしたが、今では教育により重点をおいています。新たに共同研究やパートナーシップをはじめ、その結果とそれが意味するところを、若い人々と食品業界における政策決定者を中心として、一般の人々に伝えています。さらにロデール研究所は、食品業界の指導者たちに向けて、どのようにすれば人々の健康の役に立ち、かつ事業として成功することができるかを教えようと働きかけています。
・活動 (Operations)
実験農場の耕作地は研究、教育、そして認定されたオーガニック作物の生産プロジェクトに当てられています。小規模のデモンストレーション・ガーデンや最先端の研究試験などが行われ、どちらにおいても多種類の作物が栽培されています。オーガニック農場全体としての作物栽培は、実証済みの再生技術と管理方法を使って行われています。年間25,000人以上が圃場とデモンストレーション・ガーデンを訪れ、健康を基礎とした栽培技術の結果を直接目にします。子供たちを対象にしたツアーの目玉は、ミミズがどうやって土の通気性をよくし、豊かにしているかを見ることです。子供たちは最初こそ金切り声を上げますが、地中の働き者を手にし、台所の野菜くずをやり、彼らが畑に穴を掘るのを見るうちに、熱心な興味を示すようになります。このようにして、子供たちはミミズの働きを自分の直接体験したこととして捉えられるようになるのです。
・アメリカ合衆国内のプロジェクト (Domestic Projects)
化学物質を使わない作物生産と消費を受け入れてきた人の成功体験談が、ロデール研究所に多く寄せられています。農業者、研究者、食品加工業者、流通業者、そして小売業者たちも、一般の人々のオーガニック食物への根強い欲求を理解するようになってきました。ロデール研究所は、農業生産と食品業界の代表者たちに技術的な指導をすると同時に、消費者活動のリーダーシップを取っています。目的達成のために生産と消費という両方の側面に働きかけているという点で、ロデール研究所は他に類を見ない存在であると言えるでしょう。
・国際プロジェクト (International Projects)
海外プロジェクトは、農家の人々と地域社会が脆弱な土の生産性を維持し、再生していくのを手助けしています。研究所は、グアテマラ、セネガル、ロシア、そして日本において、十分な根拠に基づいた、科学的な再生プログラムを実施しています。その際、地域社会を基礎とした社会、経済、環境的方法が取られ、成功を収めています。セネガルの大統領は、ロデール研究所が地元の女性団体とともに行った、堆肥化による地域廃棄物の再生利用活動を評価し、研究所に賞状を送りました。
・寄付(Donations)
ロデール研究所は、非営利の公共慈善団体です。個人、政府機関、私立財団、企業などから寄せられる多くの寄付によって、その献身的な世界規模の活動が可能になっています。ロデール研究所の会員となることに関心のある方は、1−610−683−1400までお電話下さい。
・活動趣旨(One Mission)
ロデール研究所は、環境と人間の健康を取り戻し、向上させることができる再生可能な食物システムを実現するために世界中の人々とともに活動しています。
・モットー(One Motto)
「健康な土=健康な食べ物=健康な人々®」
・7つのゴール (Seven Goals)
- 人々が、最良の健康を手に入れ、病気を免れるための第一の手段は食べ物であることを再発見する手助けをすること。
- 健康な食べ物は健康な土からのみ得られるという自覚を、再生可能な農業を営む農家が一般の人々に広め、健康な食物の需要を拡大していくこと。
- 若い人々に働きかけ、考え方を練り直すためのパートナーとなること。
- 土の質は、空気や水の質と同じくらい重要なものだと人々に認識してもらうこと。
- より多くの人がオーガニック生産物を栽培し、販売し、そして購入するように働きかけること。
- 再生可能な農業を営む農家、食品会社、食料品店を、医療や健康管理の専門家と同じチームに入れること。
- 精神(mind)と魂(soul)にも栄養分が必要だという考えを、健康問題、そして再生可能な生き方の一部として尊重し、認識すること。
これらの目標の支えとなり、また私たちの活動の基礎的な青写真となっているのは、ロデール研究所の前身である財団法人「土と健康」(1947年設立)のゴールであり、それを以下に記します。
- 土の肥沃度を維持・向上させ、土壌浸食を防ぎ、人間の健康を向上させるものとして、腐植土を始めとする有機物質の使用を推進する。
- 土、食べ物、人間の健康、そしてそれぞれの関わりについての科学的な研究、指導、研修、教育を実施、奨励する。
- 有機肥料及び化学肥料の土、植物、人間への影響を調査する。
- 以上の目的を達成するために、農場、学校、実験室、試験農場、出版社などの機関を設立、運営し、その他適当な方法を取り入れる。
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