日本に将来性のある農場を築くということは、新しい農業のスタイルをつくるにはちがいないのですが、伝統的な日本の農業スタイルを再発見することでもあります。
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オーガニック食物は裕福な人々の為のみにあるのではありません。持てる経済力に関わりなく、すべての人々に素晴らしい農業の恵みを享受できる方法をつくりたいと思っています。
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4000年の歴史をもつ農業に対して、私が教えることは何もないでしょう。持続可能な農業というものはこの地域で生まれたものなのですから。しかし産業経済の急速な発展は、世界の他の国々で起こったのと同様、日本の農家や農村地域を荒廃させてしまいました。加えて、ここ数年で日本の消費者は有害食品の急増、遺伝子組み換え食品の導入、虚偽の表示ラベル等に対処しなければならなくなってきました。これらの出来事は消費者の食品流通システムに対する信頼を揺るがすものでした。
農家が現行のシステムで損害を被っており、消費者が食の安全性に対する信頼を失ってしまっているのなら、それは何かが間違っているにちがいないと思うのです。
食品流通システムの規模が間違っているのかもしれません。私は8年間ずっと日本でオーガニック農業をやってきました。目下のところ、私たちのところでは80軒分の食物を生産しています。私のいるメノ・ビレッジでは、理にかなった農業を考え出そうと努力しているところです。田畑は大事にされるべきですし、人々には良質で健全な食物が必要なのです。そのような訳で、私たちは過去に行われていた伝統的な日本の農業を復活するとともに、生産物と引替えに農場を支えてくれる、都会に住む人とのつながりも持とうとしているのです。
私も生計は立てていかなければなりませんが、80軒の会員家庭すべてが同じ経済力であるというわけではありません。そこで解決法として、私たちは支払能力に応じて変動料金制を採用しています。オーガニックの食物は裕福な人々の為のみにあるのではありません。持てる経済力に関わりなく、すべての人々が素晴らしい農業の恵みを享受できる術をつくりたいと思っています。
農業のやり方や、私たちと会員とのつながりを理解してもらうために、日本の農業の歴史を簡単に見ておくことは参考になるでしょう。そこに私は、その中心的指針となる基本理念を見出しているのです。 
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