再生可能な農業を求めて

アンソニー・ロデール（ロデール研究所代表）

　ロデール研究所は、とても大切な生活の要素である食と健康に焦点を当て、世界各地で活動しています。健康な食べ物を求めることは、世界中の誰もが持つに値する権利です。再生可能な農業は、この基本的でグローバルなニーズを多岐にわたって満たすことができるのです。

再生可能な農業は家庭から始まります。世界中で日常の食べ物が高脂肪・高カロリーへと移行しており、また人々は座りがちな生活を送ることが多くなってきたこともあって、西洋においては、それに呼応するような肥満、糖尿病、そして心臓病といったものの増加が見られるようになってきています。そしてそれはとりわけ子供たちの間に見受けられるようになってきているのです。日々の生活において、ほとんどのアメリカ人が健康問題に気を遣っているのに、国家的な視野からは食と健康との関連性の理解がなかなか進みません。食べ物が実際どこからやって来るのかをほとんどの人が考えもしないのです。しかしながら、人間と環境の健康を改善しようとするならば、グローバルな視点から食糧生産に注目しなければなりません。　

　半世紀以上もの間ロデール研究所は、オーガニックかつ再生可能な食糧栽培技術を世界中で提唱してきました。また、組織を分散させるシステムに力を入れ、新鮮な旬の野菜を生産する家族農場や家庭菜園に重きを置いてきました。「再生可能な方法（Regenerative method）」には、農業、環境保護、健康法の組み合わせが採用され、統合システムを構築しています。その統合システムによって、生産と消費のあらゆる面、つまり健康な土から健康な食べ物が生産され、健康な人々を作るという過程に影響を及ぼしているのです。

　人類の健康と環境に関する多くの問題の核心部分には、食糧生産がしっかりと存在します。四十億人を越える人々が土からかけ離れた生活をしています。砂漠化、飢饉、不均等な食物の配分、戦争、栄養失調、そして肥満―――これらの問題すべてが、食物生産の複雑なシステムには細やかな調整が必要であることを証明しています。そして、私たちはこのような世界的な問題を解決に向かわせることができます。単に農家に再生可能な方法を使うことを教えることによって、そして一般社会の人々に健康な食物の価値と健全な環境の価値を見いだすよう教えることによって、私たちは広範囲にわたる変化をもたらすことができるのです。

　「再生」は農業の現場から遥か遠く離れたところでも活用できます。私たちの財産や資源を評価すること、役立たせること、そして再利用するというプロセスは、家庭、職場、地域社会、そして世界における私たちの生活の送り方にあまねく適用することができます。私たちは変化をもたらす人を必要としています。広く世界の人々を感化することによって、人類の健康と環境の破壊が進行するのをくい止めることができるというのが私たちの希望です。私たちは、農家、子供、親、一般社会の人々、教育者を励まし、その人自身を、お互いを、そして地球を再生することができるよう支援していきます。ぜひ私たちの活動に参加してください。