キャベツ類をコナガから守る
コナガの被害は日本でもよく見られますが、自然の力、オーガニック農法的防除の方法があります。
パット・ミシャラク
コナガ(学名プルテラ・キシロステラ、英語名ダイアモンドバック・モス略してDBM)は、キャベツが大好きな小さな緑色のイモ虫で、キャベツの仲間のアブラナ科植物が生えてさえいればどこにでも、日本の冷涼な気候でも棲息できます。幼虫時代にはキャベツ、ブロッコリ、カリフラワー、カキバカンラン(コラード),カブカンラン(コールラビ)、ハゴロモカンラン(ケール)、カラシ、白菜の葉を好んでかじり、世界的にキャベツの大害虫として名をはせています。日本に限らず、この害虫は、施用されたあらゆる殺虫剤に抵抗性を獲得しています。細菌農薬の「BT」ことバシリス・スリンギエンシス菌にも抵抗性を持っています。オーガニック農法、慣行農法に関わらず、キャベツ農家はコナガ防除の手だてが少ないので、必死で被害を防ぐ方法を探しています。
コナガ被害が深刻になるわけ
コナガは地中海地方の原産です。合成殺虫剤が導入される1940年代以前、コナガはアブラナ科植物にとってはことさら問題になる虫ではありませんでした。ところが、DDTを始めとする合成殺虫剤が普及すると、コナガの天敵が減ってしまいました。間もなく、コナガはDDTに耐性を持つ世界初の作物害虫となりました。歩行性甲虫やクモ、寄生蜂などの天敵がいないため、コナガは世界中で無限に生産され続けるキャベツに安住し、食い尽くすようになりました。
コナガは、新しい殺虫剤が開発されるたびに、耐性を身に付け続けました。天敵はこの蛾の急速な蔓延にはついていけません。困ったことに、この蛾は天敵よりも速く長距離を移動でき、数日間にわたり一日1,000キロもの距離を飛び続けることができます。日本では、この蛾は南西諸島から出発し、本州、さらに北海道の温帯気候区にまで移住していることが分かっています。
コナガ被害の判定法
アブラナ科植物が年間通じて生育する地域では、コナガは常時、成虫、卵、幼虫、蛹のあらゆる段階で存在します。葉の下面には成虫が見られ、その背面中央には英語名の由来である菱形模様が見られます。成虫は水滴や露しか飲まず、短命です。交尾後、雌は小さな黄色い卵を葉の中心付近、または葉脈付近に産み付けます。5〜6日で、長さ8〜 12ミリの幼虫が孵化します。若齢幼虫は葉の中に潜入します。成長すると、幼虫は葉の裏面を食い、よく葉脈と表面の薄い皮を残して「窓」のようにします。
ブロッコリとカリフラワーでは、幼虫が食べるのは葉で、商品価値のある頭花は食べないので、直接の被害はありません。幼虫を驚かすと、身をくねらせて、糸を吐きながら素早く葉から落ちます。時には、老熟幼虫や繭が頭花の中に隠れていることもあります。繭は、ふか緑色で白い絹糸の網を伴い、長さは10〜12ミリ、キャベツの葉の間や、ブロッコリの頭花の中、作物直下の土の上などに見出されます。羽化した成虫の寿命は1〜2週間です。
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