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ミミズの排泄物に含まれる成分の働きにより植物は健康に
ミミズコンポストは通常の堆肥よりも作物の生長 によいことが明らかに
ロデール研究所 ドン・ロッター博士
同研究所研究技師 マット・ライアン(下記研究報告概要の執筆補佐)
2003年1月17日:
過去十年以上の研究で、ミミズを使って作った堆肥(ミミズコンポスト)は植物の生長を促進する効果 があり、通常の堆肥を遙かに凌ぐことが明らかになってきた。
ミミズコンポストが植物の生長を促進
「IPM Practitioner:総合病虫害防除実践者誌」2002年5/6月号には、ミミズコンポストが収穫を劇的に増加させる可能性を論じた記事が掲載された。ミミズコンポストを混ぜた土で発芽、移植されたレタスでは、200%もの生長量増加を記録した研究もある。
ミミズの排泄物中に見られるフミン酸類が植物の生長を促進
ミミズの排出物中に見られ、植物の生長を促進する活性物質の主要なグループのひとつにフミン酸類 がある。フミン酸類は、トマトとキュウリでは、草丈、葉面積、枝条 あるいは根の乾重量を明らかに増加させ、花や果実の生長をよくすることに関与していることが明らかとなった。
ミミズコンポスト及びその抽出液が植物の病気を抑制
ミミズコンポストそのものや、ミミズコンポストから作られた好気性発酵堆肥の抽出液は、ある種の植物の病気を抑制することが分かってきた。シャーレを使った実験では、ミミズコンポスト抽出液は、フザリウム菌(Fusarium属) 、ボトリティス菌(Botrytis属)、ピシウム菌(フハイカビ、灰色カビ病菌、Pythium属)、疫病菌(Phytophtora属)、リゾクトニア菌(Rhizoctonia属)それにスクレロティニア菌(Sclerotinia属)といった、よく見られる植物病原菌の活動を抑えることが分かってきた。エレイン・インガム博士は、良質な堆肥による植物防疫は、主に堆肥中の微生物の活動によるものであると述べている。
農業への応用を見据えたミミズコンポスト製造システムの開発状況
一方、農民にとっては、ミミズコンポストにより新しい市場が開拓されてきた。簡単な装置とノウハウがあれば、自分の農場から出る厩肥や有機質廃棄物を、通常の好熱発酵堆肥より優れた、市場価値の高い製品に変えることができる。ミミズコンポスト製造システムには、4,500万匹以上のミミズを飼う工業規模のものから、30万匹の農園規模まで、様々な大きさのものがある。幾つかの企業が、大規模ミミズコンポスト製造システムを販売している(下記「Biocycle:生物循環」記事参照)。それらの多くは、プラント上部から供給される有機物を処理槽内で連続的に処理し、できた堆肥を装置の一番下から回収する方式である。また、ミミズコンポストは、単に昔ながらに屋外の堆積場に有機廃棄物を堆積することによって 作ることもできる。この方法では、有機質廃棄物を列の片側に置き、反対側から堆肥を回収する方法によりミミズコンポストを作る。
ミミズコンポストは家庭規模でも有用
更に、ミミズコンポストは、家庭で小規模に、装置に何千ドルもかけることなく作ることもできる。最も一般的なミミズコンポスト用のミミズはツリミミズ科シマミミズ(学名 Eisenia foetida, Lumbricidae) であり、よく魚釣りの餌に使われるオオミミズ(英名 large night crawlers)ではない。シマミミズは優れた分解者であり、沢山の有機物の中で狭いところに多数密集して生息する場合においても生存上問題はない。
もっと情報を得たい場合は
ミミズコンポストに関してもっと情報を得たい場合には、「The Compost Resource:堆肥資源」ホームページ http://www.oldgrowth.org/compost/vermi.htmlにアクセスすることから始めるとよいでしょう。「生物循環」2002年12月号には、農園規模のミミズコンポストについて要約した記事が載っています。
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